【ニューヨーク=水内茂幸】安倍晋三首相は25日午後(日本時間26日未明)、ニューヨークの証券取引所で演説し、「日本に帰ったら投資を喚起するため、大胆な減税を断行する」と表明した。これに先立ち25日昼には保守系シンクタンクのハドソン研究所でも講演した。日本の防衛費の伸びが中国の10分の1以下であることを指摘し、「(それでも)もし私を右翼の軍国主義者と呼びたいのならどうぞ」と中国側を“逆批判”した。
「今日は日本がもう一度もうかる国になる、『Japan is back』ということをお話しするためにやってきた」
首相は証券取引所での演説で、オリバー・ストーン監督の映画「ウォール街」を引き合いに、自らの経済政策「アベノミクス」をアピール。2010年の第2作では、1987年の第1作で使われた「日経平均」という言葉が姿を消し、代わりに中国人の投資家が登場したことに触れ、反転攻勢に向けた決意を示した。
「日本に帰ったらただちに成長戦略の次なる矢を放つ」と規制緩和の手を緩めない方針を明示するともに、「(2020年の夏季東京五輪招致成功で)日本は7年後に向け大いなる高揚感にあり、(投資するなら)今がチャンスだ」と強調。「世界経済回復のためには3語で十分。『Buy my Abenomics!(どうぞアベノミクスにあなたのおカネを)』」と訴えた。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)でも「年内の交渉妥結に向けて日米でリードしていかなければならない」と年内妥結への決意を踏み込んで強調した。
ハドソン研究所では日本の今年の防衛費の伸び率0.8%に対し、中国は「毎年10%以上の伸びを20年以上続けた」と説明し、中国側が首相を「戦争の道を目指す右翼」と批判していることの矛盾を指摘した。
そのうえで首相は、「日本は、米国が主たる役割を務める安全保障の枠組みにおいて、鎖の強さを決定づけてしまう弱い輪であってはならない」と訴え、日本が世界の安全保障に積極的に貢献していく方向性を打ち出した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130926/plc13092608450001-n1.htm