<茨城県>
外国人が知識や技能を習得することを目的に、国内の企業などで働く外国人技能実習制度で、県内に1年以上滞在している実習生(2号生)約5800人のうち、今年5月だけで少なくとも45人が失踪していることが、国際研修協力機構(JITCO)水戸駐在事務所のまとめでわかった。
同事務所によると、5月の1か月間で、中国やベトナムなどから来日し、鉾田市や神栖市などで農業の実習を受けていた実習生計45人の行方がわからなくなっている。
昨年度は、県内で計252人の2号生が失踪。「失踪率」は4・5%(全国平均1・7%)で全国最悪といい、上野謙一所長は「大変ショッキングな数字。職種や処遇のミスマッチによるものが多い」と話す。
上野所長によると、失踪者数は減少傾向にあったが、近年は景気の悪化による労働条件の低下の影響もあり、増加に転じている。さらに最近は、円安で賃金が目減りし、より収入が得られる第2次、3次産業に移動したとみられる。
実習生の行方がわからなくなった場合、実習生を受け入れる監理団体などが、地方入国管理局に報告することになっている。しかし、取り締まる東京入管は、行方不明者数について「統計として公表していない」とし、増加傾向にあることについても「事実かどうか判断できずコメントできない」としている。
一方、県警外事課によると、実習生が失踪しても警察に捜索願を出す監理団体は少ないといい、今年1~5月に出された捜索願は107件だけだ。捜索願が出された場合は、全国の警察に手配を出す通常の捜索となる。
実習生は技術習得を目的に来日しているため、別の場所で働いた場合、入管難民法違反(資格外活動)で摘発の対象となる。また、定められた期間を超えて国内にとどまると、同法違反(不法残留)になる。県内では、昨年1年間で199人の外国人が、同法違反で摘発されている。(2013年9月26日 読売新聞)